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岸辺露伴(きしべ ろはん、Rohan Kishibe)は、荒木飛呂彦の漫画『ジョジョの奇妙な冒険Prat4 ダイヤモンドは砕けない』に登場する架空の人物。

作中の人物像 編集

杜王町に住む人気漫画家。20歳(初登場時、1999年時点)。独身B型。代表作は16歳の時より「週刊少年ジャンプ」にて連載しているデビュー作「ピンクダークの少年」。

性格は非常に強引でかつ我侭であり、作品のリアリティを何より重視し、創作のためには他人への迷惑もあらゆる犠牲も全く省みない。作品への刺激を探求するあまり、奇矯としか表現しようのない振る舞いを数多く見せ、自身が重傷を負ったとしても作品のネタになれば喜びを感じる究極の芸術家気質。

彼が漫画を書く理由はただ一筋に「読んでもらうため」であり、金や地位や名声には興味が無いらしい。下書き無しで直接ペンを入れ、ペン先からインクを飛ばしてはみ出さずにベタを塗り、何本も持ったペンで一気に効果線を書き入れるなど人間離れした描画の技術を持ち、アシスタント無しで毎週19ページの連載を成立させている。本人は「4日で描ける。カラーで5日」と答えているが、その後さらに速くなったのか一晩で19ページを描きあげたり、Part6では時間が何倍にも加速し、ペン先にインクを付けた次の瞬間にインクが乾いてしまう状況下で締め切りを守っている。しかし、編集者から軽く見られる事を嫌がる為、原稿の書き溜めは行わない。

デビュー作「ピンクダークの少年」は、サスペンスホラー的な作品であり、康一の説明によると、「生理的に気持ち悪い(グロテスクな)シーンもあるが、迫ってくるようなスリルと、個性的で本当に居るような登場人物、特徴的な擬音、コミック表紙に描かれた登場人物のカッコいいポーズが魅力的」な漫画であるという[1]。2000年の時点で3部まで連載されているが、この時の露伴によれば、9部までのストーリーや台詞は脳内で全て完成しており、後は描くだけであるという(小説版より。これは、荒木の「ジョジョは9部までの構想がある」という発言を元にしたもの)。彼の元に届くファンレターを見る限り、「ピンクダークの少年」は人によってハッキリ好き嫌いが分かれる作風だと伺える。

尊敬している人物はこせきこうじ。しかしこれは読者向けの回答であり、実際には相手が誰であろうと見下しており、自分よりもスゴい人間などいないと考えているのが本音である。大切なものは家族と友人。しかしこれも読者向けの回答に過ぎず、彼にとって漫画以上に大切なものはない。最も好きな事の一つは「自分が強いと思っている奴にNOと言ってやる事」と語っており、自身の代わりに仗助の命を差し出すよう取引を持ちかけた敵に対しても「だが断る」と突っぱねている。このように不遜な性格の持ち主ではあるが、「まるで劇画、みたいな根性の持ち主にグッと来る」と称してジャンケン小僧こと大柳賢を再起不能にせぬまま見逃したり、自分が窮地に立たされた時に助けに来てくれた康一の行動に打たれ「君のそういう所を尊敬するんだ」と素直に褒めたりと、人物によっては敬意を持って接することもある。

岸辺露伴は動かない -六壁坂-』にて『セーラームーン』のフィギュアや『るろうに剣心』の単行本[2]レッド・ツェッペリンの紙ジャケットニコラ・ド・スタール画集を所有していた事を明かすが、破産した際に画集以外は全て売り払っている。

作中での活躍 編集

  • 子供の頃は杜王町に住んでいた。4歳(1983年)の時、吉良吉影による杉本一家の惨殺事件に遭遇するが、杉本鈴美によって助けられ、事件現場よりただ一人だけ生還する。その後家族揃って東京に引っ越したが、単身で再び杜王町に戻った。しかしこの頃には、杉本一家の事件については既に忘れてしまっていた。
  • 1999年前半、虹村形兆によりスタンドの矢で射抜かれ、スタンド使いとなる。ある日サインを貰おうと自宅を訪れた広瀬康一の記憶を自身の能力「ヘブンズ・ドアー」で読み、スタンドの存在を知る。スタンドという格好の題材をつかんだ事で創作意欲をきわめて強く刺激され、更なる創作のために康一から漫画のネタをなりふり構わず搾取しようとしたが、康一の異変に気付いた仗助と億泰によって阻止され、重傷を負った。仗助には治してもらえなかっため、「ピンクダークの少年」は怪我の回復まで休載となる。
  • 仗助によって重傷を負わされた時、イタリアへ取材旅行に出かけた(岸辺露伴は動かない 〜エピソード16‥懺悔室〜)。この時、成り行きで懺悔室の中の神父のふりをして、悪霊に取り憑かれた男の人生を取材した(スタンドは使用せず)。
  • 仗助戦での怪我から復帰した後、杜王町を探索中に、過去に自分の命を守ってくれた杉本鈴美の幽霊と出会う。その際、忘れていた記憶を思い出し、仗助らと共に町に潜む殺人鬼吉良吉影を追うことになる。そのため、吉良吉廣の送り込んだ大柳賢、チープ・トリックと戦うことになるもいずれも勝利。その後、川尻早人が何らかの手掛かりを掴んでいることを突き止め接触を図ったことにより川尻浩作=吉良の真相にいち早く辿り着くも、吉良が早人に憑かせていたバイツァ・ダストにより爆死。しかし、4度目に戻された時間の中で早人の機転により「運命」が実行される直前に能力が解除されたため、無傷で生還する。
  • 2000年の1月頃(『“The Book”jojo's bizarre adventure 4th another day』)、「ピンクダークの少年」第3部を完結させ、第4部の構想を考えている最中、ふとしたきっかけで奇妙な殺人事件に遭遇。「ヘブンズ・ドアー」によりその殺害方法と敵スタンド使いの能力を暴いた。
  • 2006年、「妖怪伝説」の取材を行おうとしていた山がリゾート開発されそうになった為、周囲の山を6つ買ってこれを阻止した(『岸辺露伴は動かない -六壁坂-』)。しかし、地価の暴落に遭って破産し、画集以外の財産全てを失ってしまう。以後、康一の自宅に転がり込む。取材自体は成功し、妖怪六壁坂の正体を突き止めた。
  • 2007年、仗助らとの世間話をきっかけに10年前に聞かされた「この世で最も黒く、最も邪悪な絵」の話を思い出し、真相を調査すべくルーヴル美術館を訪ねた(『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』)。絵は発見するも、絵の呪いに遭遇し、からくも生還する。第四部本編とはキャラクターの設定などが大きく異なる。
  • この他、Part5(2001年)、Part6(2011年)にも名前のみではあるが登場。Part5では「ヘブンズ・ドアー」で康一をイタリア語が喋れる様にしており、Part6では時間を加速させるスタンド「メイド・イン・ヘブン」により時間が加速した世界の中でも漫画を描き続けており、唯一締め切りを守る漫画家として名前のみ登場している。
  • 文庫版の番外編『オインゴとボインゴ兄弟 大冒険』のあとがきは岸辺露伴による論評の形式をとっており、『オインゴとボインゴ兄弟 大冒険』の内容を絶賛。敗北宣言までするが、その漫画がスタンド「トト神」による自動筆記と知った途端、手の平を返した様に酷評し最後には「自分以上の漫画家なんて存在しない」と締めくくっている。
  • 実在の週刊少年ジャンプの月例新人漫画賞である「第103回ホップ☆ステップ賞」で審査員を務めたこともある。あくまで設定上のもので、実際には荒木飛呂彦が審査員を務めている。

ヘブンズ・ドアー(天国への扉) 編集

【破壊力 - D / スピード - B / 射程距離 - B / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - A】

露伴のスタンド。対象を「」にする能力を持つ。基本的に、身体のどこかの部位が薄く剥がれるような形で「本」のページになる。「本」には対象の記憶している「人生の体験」が記されており、記述を読むことで相手や相手の知っている情報を知ったり、ページに書き込むことで相手の行動・記憶を露伴の思うとおりに制御することも可能。「本」状態となった者ははいずることができる程度まで動くことが制限される。また、ページを破り取るとその相手はその部分の記憶を失い、体重が急激に減少する。

ある程度知能を持った動物や幽霊、また露伴自身にも能力は使用することが可能。また、相手に文字を書き込むことで支配する力は絶大で、対象者がどれだけ拒絶しようと逆らうことはできず、「ほんの僅かな期間でネイティブ並みの語学力を身に付けさせる」「後方に時速70キロの速度で吹き飛ぶ」など、本来相手には実行不可能な事をさせることもできる(どこまで無理な命令をさせられるかは不明)。

このスタンドは当初、能力だけが発現したような状態であり、露伴が直接描いた絵を露伴と波長の合う者が読むと対象を「本」に変えるというものだった(ただし、原稿を見てはいるが、それが何であるかさえ分からない状態にまで逆上した仗助には通用しなかった)。しかし物語の中で成長していき、最初は漫画の生原稿をある程度読んだ時に発動していたが、成長により一コマ見ただけで相手を「本」にすることも可能となり、中期には空中に指で「ピンクダークの少年」の主人公の顔を描いて見せることでも能力発動できる様になった。最終的には「ピンクダークの少年」の主人公を模したようなスタンド像を確立している(「ダイヤモンドは砕けない」に登場したものは人間に近い姿をしていたが、「岸辺露伴は動かない -六壁坂-」で再登場した時には、ロボットの様なデザインに変化している)。

スタンド像が確立された頃には、絵を見せなくても相手に触れることで本にすることも可能となり、相手に命令や記憶を書き込む場合も、ペンなどを使わずに直接書ける様になった。更に、時間の経過に従い、直接書かずに「文字」だけを飛ばして相手に書き込んだり、相手の皮膚の僅かな面積だけを捲るようにして書き込むなど、器用な芸当も可能となった。この頃には、波長が合わないとしていた仗助相手にも命令ができるようになっている。

その何でもありな性能から作中で無敵と評された事もあるが、ボーイ・II・マンでヘブンズ・ドアーの一部を吸収した大柳 賢には文字を書き換えられて命令を取り消されたり、露伴にとり憑いたチープ・トリックに使用した際には自身にその効果がはね返るなど、スタンドの相性によっては通用しない場合もある。また、自分の遠い過去の記憶や運命は読むことが出来ず、死にゆく人間に使用した場合は肉体に存在する「人生の体験」が消えていく様が見え、それが完全に消えると相手は死亡する。そうなると「ヘブンズ・ドアー」の力でも生き返らせる事は出来ない。また死人を本にしても「死」という文字だけで埋め尽くされているため、書き込むことは出来ない。

スピンオフ作品 編集

『岸辺露伴は動かない』シリーズ 編集

岸辺露伴を主人公としたスピンオフ作品『岸辺露伴は動かない』シリーズが、2007年12月時点で2作発表されている。同シリーズは原作を岸辺露伴が、作画を荒木飛呂彦が手がけたという設定である。

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』 編集

2009年に、フランスのルーヴル美術館と、Futuropolis社が2005年より実施してきたバンド・デシネプロジェクトの第5弾として、露伴を主人公とした123ページのフルカラー作品『岸辺露伴 ルーヴルへ行く(Rohan au Louvre)』が発表された。

詳細は岸辺露伴 ルーヴルへ行くを参照

名前の由来と作者との関係 編集

名前の「露伴」は語感から小説家の幸田露伴より拝借したもの、姓の「岸辺」は「地名か何かからとったが深い意味はない」という[3]。また、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』では「両親が付けてくれた名前で―『露』ははかなきもの―そして『伴』はともにすごす―という意味[4]」との解説がある。

スタンド名の由来はアメリカのフォーク/ロックシンガーボブ・ディランの楽曲「天国への扉 」(原題 "Knockin' on Heaven's Door")[5]

漫画家のキャラクターということもあり、荒木飛呂彦が自身を投影したキャラと捉えられがちだが、荒木本人はその事に関しては否定しており、荒木にとって「漫画家としての理想の姿」であると明言している[3]。また荒木は「岸辺露伴とイメージをダブらされているらしく、初めて会う人に身構えられてしまう事が悩み」と語っている[6]

脚注 編集

  1. Part4、および小説版での康一の感想による。
  2. るろうに剣心の作者の和月伸宏はジョジョの大ファンであり、ジャンプSQ2008年1月号の巻末コメントで、露伴が自分の作品を所持していたことについて「天国の扉が開いた気分」とコメントした。
  3. 3.0 3.1 ジャンプスクエア 2008年1月号掲載インタビュー『『天国への扉』で荒木を読むッ』
  4. ウルトラジャンプ2010年4月号4ページ
  5. 『集英社ジャンプリミックス ダイヤモンドは砕けないvol.16 ヘブンズ・ドアー編』 P90「The origin of STANDS!」Part3
    ジャンプスクエア 2008年1月号掲載インタビュー『『天国への扉』で荒木を読むッ』においても言及されているが、こちらは「ボブ・ディランの名曲より。」と少しぼかした表現になっている。
  6. スティール・ボール・ラン』15巻

関連項目 編集

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